Don't mistake sugar for salt.

読んだ本や思ったことの記録

フリードリヒ大王と王妃の文通を翻訳してみよう〜②

ちょっと変わった仲の18世紀プロイセンの王様と王妃様の文通を、海藻(kaisou-ja)様と訳してみました(⌒▽⌒)

残念ながら、私はたまたま18世紀の王妃様を調べていた時に書簡が公開されているのを見つけたもので、フランス語はおろか、18世紀プロイセンに造詣がありません。豆腐メンタルでもありますので間違いがあれば優しくご教授ください。

*メモ*

夫である人:フリードリヒ二世(大王)。プロイセン王太子→国王。オーストリア継承戦争七年戦争を勝ち抜いた軍事史上稀に見る天才であり、芸術・哲学に造詣が深い。即位してからは妻と別居するが、王太子時代は妻と同居している。別に妻が嫌いとかそういうわけではないらしいが、妻に塩対応になりがち。どうやら繊細で気難しい性格らしい。

妻である人:エリーザベト・クリスティーネ。プロイセン王太子妃→王妃。実家がオーストリアマリア・テレジア外戚かつロシア皇帝外戚の、いいところのお嬢様。お金持ち。夏は夫から送られたシェーンハウゼン宮殿に住まうことになった。夫に常に砂糖対応。稀に夫からの塩対応にキレることも。どうやら温厚で人付き合いの上手な性格らしい。

フリードリヒ・ヴィルヘルム1世:プロイセン王。フリードリヒ二世の父。息子とは複雑な関係である。1730年5月に死去するので、話題はもっぱらこのお方の病気のこと。父が死ねば国王に即位しなければならないので、王太子殿下は非常に苦しむ。

ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公カール1世:エリーザベトの兄。妻がフリードリヒ二世の妹。つまるところ二重結婚(さらにフリードリヒとエリーザベトの弟妹がまた結婚し三重結婚になる)。プロイセンに妹をやりつつ、神聖ローマ皇后エリーザベトの甥、マリア・テレジアの従兄であることから、オーストリアとも繋がりのあるお方。兵と金を多量に持っており、兵が欲しいフリードリヒ二世と激しいやり取りをしている模様。

ブランデンブルクバイロイト辺境伯夫人ヴィルヘルミーネ:フリードリヒ二世の最愛の姉。ヴィルヘルミーネを前にするとフリードリヒ二世はマジもんのシスコンぶりを発揮するらしい(一説には銀河英雄伝説のラインハルトと銀魂の志村新八と封神演義の燃燈道人と聖闘士星矢魚座のアモールを足して四で割ってないレベルらしい)。どんだけやねん。姉が体調不良のようで、フリードリヒ二世バイロイトへ行くことに。エリーザベトにおみやげとして扇子を渡すようフリードリヒにお使いを頼む。姉という生き物は弟が王に即位していようとパシリに使うのだ。
(ただ、不思議なことに1740年夏にベルリンに立ち寄っていたそうなのに、夫婦の手紙には一切そのことについて言及がない。夏にはエリーザベトはシェーンハウゼン宮殿で過ごしており、フリードリヒは王妃に一言くらい告げても良さそうなものだが……)

 追記から。

1739年

11. A LA MÊME.(王太子妃へ)

Haras de Prusse, 10 août 1739.

Madame,
Ne dites point, s’il vous plaît, que je vous écris cette fois, parce que je n’écris point à la Reine. J’ai cru avoir le plaisir de vous revoir d’aujourd’hui en huit, mais cela ne se pourra que mardi au soir. Je compte être à huit heures du soir à Berlin; mais je n’ai pas grande envie d’aller au château, car lorsqu’on voyage quatre jours de suite sans dormir, vous comprenez bien qu’on est harassé au possible, et qu’on ne pense guère qu’à se reposer. Le Roi arrivera vers midi à Berlin; vous voudrez bien lui donner le chien, en me mettant à ses pieds.
Ayez la bonté de faire faire mes compliments à madame de Rocoulle,a et de lui envoyer des soupes confortatives; voulez-vous bien aussi faire mes compliments à Truchs?
J’espère donc avoir le plaisir de vous revoir mardi au soir en bonne santé, vous priant de me croire sans réserve, madame, votre très-fidèle serviteur.

**

Haras de Prusseより※1
1739年 8月10日
マダムへ
あなたに私が手紙を送ったこと、今回は王妃には言わないでくださいね。
8日後に再会できると思っていましたが、火曜の夜までにはお会いできると思います。※2
午後8時にはベルリン着の予定ですが4日連続の徹夜で大変疲れているので、
登城する気にはとてもなりません。
国王は午後にベルリンに到着します。
あなたは彼に(誕生日※3 プレゼントの)犬を差し上げて、私は王の足元に跪きましょう。
マダム・ド・ルークル※4 には私からお礼の言葉をかけます、
トゥルクス※5 にはあなたからもお褒めの言葉をよろしく。
火曜日の夜、元気なうちにお会いできることを楽しみにしていますので、
私を疑わず信じてください。
マダムの忠実な下僕より

**

※1 Haras de Prusse
トラケーネン牧場のこと。
10の手紙より、父王から管理を委任された。
(https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Haras_de_Trakehnen)
※2 9の手紙で8/17予定だったが1日遅れる模様。1739年8月17日→月曜日 8/18火曜日着予定。8日は8/10時点で過去なので8日後。

※火曜の夜までにが到着といってるのに、なぜ午後の8時なのか
この時期の現地時間午後8時あたりは、日没時間前でまだ普通に明るいので
ギリセーフ。
※3 フリードリヒ・ヴィルヘルム1世のお誕生日は 1688年8月14日
王太子の出発の5日前に現地を出発しているので8月12日か13日にベルリン着。
ちょうどお祝いするにはには良いあたり
※4 フリードリヒ・ウィルヘルム1世および、王太子とその姉のガヴァネス(家庭教師)で、女官長
(https://en.wikipedia.org/wiki/Marthe_de_Roucoulle)
※5 トゥルクス(Truchsess-Waldbourg伯爵)(お手紙の2と3にも出てきます)

(海藻さん訳)

12. A LA MÊME.

(Automne 1739.)

Madame,
J’ai reçu votre lettre avec bien du plaisir, et je vous suis très-obligé des belles camisoles que vous avez eu la bonté de m’envoyer. Je vous prie de vouloir bien rendre toutes ces incluses à leurs adresses. Je vous plains, c’est tout ce que je puis faire. J’attendrai les nouvelles de mercredi, sur lesquelles je réglerai mon départ. Je crains fort de trouver tout à Berlin à peu près où je l’avais laissé : tantôt la goutte aux genoux, tantôt des oppressions sur la poitrine; enfin je prévois que nous passerons un triste hiver. Patience, c’est l’unique chose dont nous ayons besoin.
Je serai, si tout reste de même, samedi à Berlin, et j’aurai le plaisir de vous embrasser; mais si le Roi prend la goutte, je traînerai mon départ jusqu’à mardi.
Adieu, madame; je vous prie de me croire tout à vous.
Vous avez fort bien fait de parler au Roi sur le ton que vous l’avez pris. Si l’occasion s’en présente, vous pouvez seulement lui dire qu’il ne nous trouverait jamais en défaut envers lui, et que l’intérêt et l’ambition ne nous feraient jamais extravaguer jusqu’au point d’oublier notre devoir et les sentiments de la nature. Si vous pouvez le lui dire d’un ton ferme, vous verrez que cela fera un très-bon effet.
Mes compliments à Pöllnitz.(a) Dites-lui seulement que je lui suis obligé de la peine qu’il avait prise de m’écrire.

a: Voyez t. XX, p. V et VI, et p. 83-119. Le baron de Pöllnitz envoyait à Frédéric des rapports suivis sur la maladie du Roi.

**

12、同様(王太子妃へ)

(1379年秋)

マダム、
お手紙をいただき、大変嬉しく思います。また、きれいなキャミソール(※2)を送って下さったことに感謝しています。これらの封入物は全てご自身の住所に返送してください。かわいそうだけど(申し訳ないんだけれど)、これが私のいま伝えられるすべてのことです。私は水曜日まで便りを待って、自分が出発するかどうか決めます。ベルリンで、私が受け取っていない様々な情報が入ってくるのが怖い。時には膝の痛風、胸部の息苦しさ。おそらく悲しい冬になる予感がします。忍耐、それだけが必要です。
もし、今と同じ状態が続くなら、私はベルリンに土曜日に到着し、あなたにキスする喜びを味わうことができるけれど、もし、王が痛風になったら、私は水曜日まで出立を遅らせます。
さようなら、マダム。私は全てあなたのものであるとお信じになってください。
あなたは、王に話すのがとても上手でしたよね。機会があれば、私たちが彼に対して抱く落ち度は見つけられないだろう、 そして、利害や野心が、義務や自然の感情を忘れてまで常軌を逸することはないだろうと彼に話してください。ちゃんとしっかり言えば、伝わるはずだから。
ペレニッツ(a)へ賛辞を。わざわざ私に手紙を書いてくれたこと、感謝するとだけお伝えください。


a:ペレニッツ男爵(※1)はフリードリヒに国王の容体について定期的に報告を書いている。

**
※1:たぶんカール・ルートヴィヒ・フォン・ペレニッツ。文筆家でフリードリヒ大王に仕えた模様。
※2:女性用下着を妻に送らせるわけないしな(いや、そういうニッチな趣味の人もいるかもしれないですけど)、というわけで仏和辞典のcamisolesの項を引くとシャツと書いてあったのでそれを採用したのですが、どうやら17〜18世紀男性が身にまとう裾の長い袖なしベスト(矢印の部分)だったようです!

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海藻様、教えていただきありがとうございます。

王様が病気のようですが、なんだか殿下は、息子として父が心配という感情と、父に気に入られている嫁を通じて保身に走りたいという感情があるようです。王族だし、複雑な親子関係だったそうなので、ただ心配一辺倒というわけにもいかなさそう。

(みやずみ訳)

1740年

13. A LA MEME.

Ruppin, 25 janvier 1740.

Madame,

Votre lettre m'a donné la peur tout du long. J'ai parlé à Feldmann et au chirurgien-major, qui disent tous les deux qu'il est impossible que le Roi en revienne, et qu'on a beaucoup à craindre une suffocation ou quelque accident imprévu. J'attends les lettres de ce soir; si cela va mieux, je resterai ici jusqu'à samedi; sinon, je serai mercredi à cinq ou six heures à Berlin. Je vous rends mille grâces de la peine que vous vous donnez de m'informer de tout ce qui se passe; je serais sans cela dans mille incertitudes, quoique je ne saurais m'imaginer que le danger soit si pressant.

Enfin quelques mois nous éclairciront de ce qui arrivera, car il est presque impossible que les choses restent dans la situation où elles sont présentement. Il faut avoir patience, et se résigner à la volonté de la Providence, qui dirigera tout comme bon lui semblera. Je ne souhaite point la mort de mon père, Dieu m'en préserve! et je crois que je serai plus affligé de sa mort que beaucoup d'autres, qui affectent de l'idolâtrie pendant sa vie; la voix de la nature est un instinct trop puissant en moi,(a) et je ne suis pas assez farouche pour l'étouffer.

Faites, s'il vous plaît, les assurances de mes très-humbles respects au Roi et à la Reine, mes amitiés à mes chers frères et à mes jolies sœurs, et soyez persuadée que je suis à vous avec l'estime la plus parfaite.

La première lettre que je recevrai de vous décidera de mon départ. Adieu. 

a: Voyez t. XXI, p. 398.13.

**

 ルッピンより 1740年1月25日(日曜日)
マダムへ

あなたの手紙を私は恐れていました。私はフェルドマンと軍医と話をし、二人とも言うには窒息や不慮の事故の恐れがある為、王の復帰は不可能とのことです。今晩の手紙を待っています。(王の容態が)よければ私は土曜日(1/31)までここに滞在します。そうでなければ私は水曜日の5時か6時にベルリンにいます。あなたがすべての出来事を私に知らせてくれたことに、大変感謝します。そうでなければ、私は容態がそれほど切迫していることも知らずに、楽観視してるでしょう。※1

最後に、数か月後には何が起こるかが明らかになります。なぜなら、※2事象は常に流動的だからです。私たちは忍耐を持ち、※3神のご意思に身を任せなければなりません。私は父の死を望まない、神は私を守ってくださる!そして、私は他の多くの人よりも父の死に対し悲嘆にくれるだろうと思います。※4国や民の望みは大きすぎます。そして、私はそれに応えれるほど強くありません。

王と王妃への最も謙虚な敬意、愛する兄弟とかわいい姉妹への敬意を保証してください、そして私があなたへより完璧な最高の尊敬をもっていることを確認してください。

私があなたから受け取る最初の手紙が、出発を決定します。さようなら。

a: XXI、p。 398を参照してください。

**

※1:意訳登場。容態悪化を知らない(否定なのに)不安定になる(近い未来)はおかしいぞおもってたら「sans(無い)」があるので不安定じゃない→安心・楽観ということかなと。ちなみにSans souciのSanも同じ意味。憂いがない

※2:直訳は、物事が現在の場所に留まることはほとんど不可能だからです。→事象は常に流動的

※3:直訳は、プロビデンス→すべては神の配慮によって起こっている」という概念→神のご意思

※4:直訳は、自然の声→たぶん国王として周りに求められるもの的なので意訳

(海藻さん訳)

14. A LA MÊME.

Ruppin, 17 mai 1740.

Madame,
Le mésentendu est certain avec votre frère.(a) Il pense que l’on veut avoir un régiment formé, habillé et armé; ce n’est point mon intention; il ne s’agit que du nombre d’hommes qui composent un régiment, que j’habillerai, et dont je prendrai tous les autres frais sur moi. De cette façon-là, il comprendra facilement que cela ne peut pas tant coûter qu’il s’imagine, et que, ayant une quantité de monde dans son pays, et des régiments tout formés, ce serait une grande bagatelle que d’en amasser treize cents pour me les céder.

J’ai tout réglé à Remusberg pour l’enterrement de Wolden,(b) de façon qu’il se fera d’une manière fort succincte, et je pense que tout sera fini vers le vendredi. Adieu, madame; on me mande de Potsdam que les choses y empirent journellement, mais que mon frère est entièrement hors d’affaire.(c) Je vous prie de ne me point oublier, et d’être persuadée que je suis votre très-humble serviteur.

Vous plaît-il de faire mes compliments aux dames?

a: Charles, duc régnant de Brunswic.
b: Gustave-Henri de Wolden mourut le 17 mai 1740, dans sa cinquante-septième année. Voyez t. XVI, p. 17, 49, 87, 97 et 99, où Frédéric le nomme par plaisanterie M. le Grand et le sieur Silva.
c: Ces deux nouvelles se trouvent dans la lettre inédite du baron de Pöllnitz à Frédéric, de Potsdam, le 16 mai 1740.

**

14、同様(王太子妃へ)

ルッペン、1740年5月17日

マダム、
あなたの兄上との意見の相違(不和)は確かにあります。彼は、訓練され、軍備を十分にした軍隊が必要だというのです。けれどそれは私の意図するところではありません。(私が考えているのは、)軍備を整え、諸経費を負担すべき、軍隊を構成する人間の数の問題なだけなのです。この方法では、彼の考えているほど費用もかからないでしょうし、彼の国に十分な人手がいて、十分な軍備がされているのだから、1300ばかり集めて私に提供することなど些細なことでしょう。

Wolden(ウォルデン)(b)の葬儀は、レムズバーグで、すべて整え終えたところです。非常に短いものになるように、金曜日中にすべて終わらせてしまおうかと思っています。さようなら、マダム。ポツダムから、状況(※王の病状か)は日々悪化していると聞いています、しかし、私の弟は完全に何にも関わっていないのです(※ないしは何も執務をしていないのです)。(c)どうか私を忘れずにいてください、そして私があなたの最も謙虚な下僕であると信じてください。

ご夫人たちへ、私の賛辞を伝えてくださいますか?

a:ブラウンシュヴァイク公カール
b:グスタフ・ハインリヒ・フォン・ヴォルデンは1740年5月17日に57歳で死亡している。 t. XVI, pp. 17, 49, 87, 97, と99を参照のこと。そこでフリードリヒは彼のことを冗談めかしてGrand氏やSilva氏と呼んでいる。
c:この二つの知らせは、1740年5月16日、ペレニッツ男爵からポツダムのフリードリヒへの未発表の手紙に記載されている。

**

エリーザベトの兄、ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公カール1世の話が出ました。フリードリヒ殿下にとっては妻の兄、そして妹フィリピーネ・シャルロッテの夫と、義理の兄弟(カール1世の方が一つ下)にあたる人です。でも神聖ローマ皇后エリーザベトの甥でもある。がんばって軍隊をもぎとってくるんだぞ、フリッツ殿下!
あと即位まで二週間しかない(と後世の我々は知っている)フリッツ殿下、大変そう。

(みやずみ訳)

15. A LA REINE.(王妃へ)

(Potsdam) ce 31 (mai 1740).

Madame,
Dieua vient de disposer du Roi cette apres-midi a trois heures et demie.
Il a pense a vous, et nous a tire a tous de veritables larmes de compassion.
Vous ne sauriez croire avec quelle fermete il est mort.b Vous viendrez, s’il vous plait,
mercredi ou jeudi a Berlin. Knobelsdorff doit s’y rendre incessamment. Nous logerons dans notre vieille maison.
Des que vous arriverez, il faut commencer par rendre vos devoirs a la Reine, et de la vous viendrez a Charlottenbourg,
en cas que j’y sois. Je n’ai pas le temps de vous en dire davantage.
Adieu.

**

ポツダムより 1740年5月31日火曜日

マダムへ
神は今日の午後3時半に、王を昇天させました。
王はあなたのことを考え、私たち全員に同情の真の涙をもたらしました。
彼がどれほどしっかりと亡くなったかは信じられないでしょう。
ベルリンの水曜日か木曜日には来てください
クノーベルスドルフは間もなく到着する予定です。
私たちは古い家※1に滞在します。
到着したらすぐに王妃の御前に出廷することから始めなければなりません。
そこからシャルロッテンブルクに行きます。
私がそばに居る場合と同じように準備するように。これ以上話す時間がありません。
さようなら。

**

※1古い家→ベルリン王宮かポツダム宮なのかが不明。
とうとう国王崩御
Le roi est mort!, Vive le roi

(海藻さん訳)

16. A LA MÊME.

Berlin, 1er juin 1740.

Madame,
Lorsque vous serez arrivée, vous irez d’abord chez la Reine pour lui témoigner vos respects, et vous tâcherez d’en faire encore plus qu’autrefois; ensuite de quoi vous pouvez encore rester ici, votre présence étant nécessaire, jusqu’à ce que je vous écrive. Voyez peuou point de monde. Demain je réglerai le deuil des dames, et je vous l’enverrai. Adieu; j’espère avoir le plaisir de vous revoir en bonne santé.

**

16、同様(王妃へ)

ベルリン、1740年6月1日

マダム、
到着したら、王妃の部屋へまず行き、挨拶(謁見??)をします。前よりももっと行います。あなたの存在が必要だと、私が手紙を書くまで、そこにとどまっていてください。人はそんなにいないでしょうね。明日、婦人用喪服を整えて送りますね。さらば。健康であなたにお会いできるのを楽しみにしています。

**

フリードリヒ2世、即位1日目。妻に対する手紙が、軍隊の同僚や部下に対するレポートのようだと評判の(ドイツ語の記事だかに書いてあった気がします)簡潔で理解しやすい手紙が始まります。
エリーザベトはひどく精神的に追い詰められたと言いますが、そりゃそうだ。今までの手紙が「公使がハンサムでいいね!」とか「疲れてヘトヘト」とか「あなたにキスするのが楽しみ」とかいう、激しくは愛し合っていないけれど穏やかな仲の良い夫婦の手紙だったのに、いきなりこんな愛も囁かないマッチョな上官からの手紙を送られたら……
喪服は整えてくれるそうです。

(みやずみ訳)

17. A LA MEME.

(Rheinsberg) ce 8 (aout 1740).

Madame,
Je vous rends grace de l’interet que vous prenez a ma sante.
Je suis toujours fievreux, et, la derniere fois, l’acces a ete assez fort.
J’attends ce soir a six heures le sort de ce jour-ci.
Je vous envoie, en attendant, un papier qu’il vous faut pour Schonhausen,
vous souhaitant mille plaisirs et satisfactions pendant que vous en jouirez.
Vous serez contente de moi l’annee qui vient,
et je ferai ce que je pourrai pour que vous puissiez l’embellir selon votre plaisir.
・La Reine habita des lors le chateau de Schonhausen pendant la belle saison.

**

17. 同様

ラインスベルクより 1740年8月8日 (日曜日)

マダムへ
私の健康気遣っていただきありがとうございます。
まだ熱っぽくて、前回の発作はかなり強かったです。
この日の幸いを今晩6時にお祈りします。
その間に必要な紙※1をシェーンハウゼンにお送りします。
千載一遇の喜びと満足を願いつつ
来年にはきっと喜んでいただけるように、
お好みに綺麗にできる限りしてあげたいと思います。※2
・王妃はは夏の間、シェーンハウゼン宮に住んでいました。

**

※1 紙→物理で紙なのか書面なのか内容が現段階不明なので一旦紙にします
※2 何を整えてあげようとしているのかも不明
国王はラインスベルクで寝込んでいるようですがすでに嫁はシェーンハウゼンで
不在…
嫁には何かをしてあげる予定のようですが、
状況からもしかして住まい(シェーンハウゼン)のことかな。
すでに別居は開始されてます…

(海藻さん訳)

18. A LA MÊME.

Ruppin, 10 août 1740.

Madame,
Je pars pour Baireuth, et de là pour Wésel. J’espère avoir le plaisir de vous revoir en bonne santé. Si je ne vous écris pas souvent, ce ne sera pas ma faute, car on a peu de temps en voyage.
Votre frère est parti d’ici fort content, autant que j’en ai pu juger. J’espère qu’il persistera dans les bonnes intentions où il est présentement.
Je suis avec bien de l’estime, etc.

**

18、同様(王妃へ)
ルッペンより、1740年8月10日
バイロイト(※1)に向かって、それからヴェーゼルに行きます。元気であなたと再会できるのを楽しみにしています。あなたに頻繁に手紙を書かないのは、道中十分な時間がないからで(※2)、私のせいではないよ。
あなたの兄上はここを幸せに去ったようです、私の判断する限り。今もそうであるように、今後も彼の善意(※3)が続くように願っています。
尊敬の念などを抱いています。

**

※1:バイロイトということは、ブランデンブルクバイロイト辺境伯領に嫁いでいる世界で一番大好きなお姉ちゃんのブランデンブルクバイロイト辺境伯夫人ヴィルヘルミーネに会いにいくのだと思います。楽しみだね!陛下!!!
※2:前に送られた手紙が二日前であり、「頻繁に書かなかった」と考えるのはおかしく、また過去形ではないの(écrisは一人称現在形)で、旅行の道中は手紙を頻繁に書かないという話を口頭か何かでしているんだと考えられます。それに不満を抱いたエリーザベトに対して「あなたに何か思うところがあるわけではないんだよ」「道中時間がないんだ」と言い訳しているお手紙と考えられます。そう捉えると、泣いている妻をなだめる図に見えて、ちょっと可愛いかもしれない。うん。そういうことにしておこう。
※3:以前の手紙(14)と合わせて勘案すると、「あなたの兄上(たぶんブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公カール1世)の善意」というのは「プロイセンに兵を貸与する」ということであると可能性あり。

(みやずみ訳)

19. A LA MEME.

Ruppin, 11 aout 1740.

Madame,
J’ai eu le plaisir de recevoir votre lettre, et j’espere que celle-ci vous trouvera en parfaite sante.
Dieu veuille conserver la sante de la Reine, et la retablir tout a fait!
Quant aux materiaux, je crois que nous sommes trop avances dans l’annee pour y penser,
et que cela vaudra mieux pour l’annee qui vient;
et il faut d’ailleurs faire premierement une taxe du batissage,
et nombrer la quantite de pierres dont on peut avoir besoin.
Adieu, madame;
je pars dimanche,
et je suis avec bien de l’estime, etc.

**

ルッピン、1740年8月11日 木曜日

マダムへ
手紙を受け取りました、あなたの健康を願っています
王妃の健康を守り、完全に回復しますように!
築材については時期尚早で来年のほうが良いのではと思いますし※1
まずは 普請費を設定して必要な石材の量を見積もる必要があると思います。
さようなら、マダム、私は日曜日に出発します、
そして尊敬の念を抱いています

**

※1 先の手紙から王妃へ何かを「してあげる」のは建物関係のようなので
やっぱりお住まい(シェーンハウゼン)のリフォームのことかな?
だとすると、いよいよ本気で別居に持っていくのか国王。
分かり次第補足します
une taxe du batissage→直訳すると建築の税金だが、taxeには料金や費用の意味もあるようです

(海藻さん訳)

20. A LA MÊME.

Le 13 août 1740.

Madame,
Vous pouvez prendre les dames d’honneur du 1er de septembre. Adieu; je pars demain, vous priant de ne me point oublier.
Le baron Müller sera un des chambellans, et Kraut l’autre.

**

20、同様(王妃へ)

1740年8月13日

マダム、
9月1日に女官たちを採用できます。さらば。明日出発します。どうか私を忘れないでください。
ミュラー男爵が侍従の一人となり、もう片方はクラウトになるようです。

**

ミュラー男爵とクラウトとは誰なんでしょう。

でもって、何回「出発します」って王妃様に言ってるんだ。
「フリードリヒがバイロイトに出発するまであと●●日」みたいに奥さんの手紙でカウントダウンする王様。
王太子時代にも、「ベルリンに●日に戻る」と何回も書いていましたが、今回は文面が短いので、余計カウントダウンが目立つ王様でした。

(みやずみ訳)