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読んだ本や思ったことの記録

フリードリヒ大王と王妃の文通を翻訳してみよう〜①

ちょっと変わった仲の18世紀プロイセンの王様と王妃様の文通を、海藻(kaisou-ja)様と訳してみました。

残念ながら、私はたまたま18世紀の王妃様を調べていた時に書簡が公開されているのを見つけたもので、フランス語はおろか、18世紀プロイセンに造詣がありません。豆腐メンタルでもありますので間違いがあれば優しくご教授ください。

*メモ*

夫である人:フリードリヒ二世(大王)。プロイセン王太子→国王。オーストリア継承戦争七年戦争を勝ち抜いた軍事史上稀に見る天才であり、芸術・哲学に造詣が深い。即位してからは妻と別居するが、王太子時代は妻と同居している。別に妻が嫌いとかそういうわけではないらしいが妻に塩対応になりがち。どうやら繊細で気難しい性格らしい。

妻である人:エリーザベト・クリスティーネ。プロイセン王太子妃→王妃。実家がオーストリアマリア・テレジア外戚かつロシア皇帝外戚の、いいところのお嬢様。お金持ちであり、王太子王太子妃時代の住まい(ラインスベルク宮殿)は彼女のお金で建てた。夫に常に砂糖対応。稀に夫からの塩対応にキレることも。どうやら温厚で人付き合いの上手な性格らしい。夫の難儀な父とも夫の個性豊かな弟妹とも上手に付き合える稀有な人材。

ルピーン(ルッペン):プロイセンの第十五連隊の駐屯地がある。フリードリヒ王太子の勤務先。ラインスベルク宮殿から通っていたらしい。

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翻訳のまとめ、その①です。
とりあえず10通目まで。

原文ページ→

http://friedrich.uni-trier.de/de/oeuvres/26/toc/text/

最初は、フリードリヒ二世即位1年前、1739年のお手紙から始まります。

追記から参ります。

1739年

1. A LA PRINCESSE ROYALE.(王太子妃へ)

(Ruppin) ce 13 (juin 1739).

Madame,

Je vous ai mille obligations de toutes les bonnes nouvelles que vous me faites le plaisir de m'apprendre. J'espere de pouvoir vous en donner un jour de bonnes de mon cote. Quant a vos chevaux, j'ai fait ce que j'ai pu pour en trouver deux qui s'accordent avec les votres, mais inutilement; ainsi ayez la bonte de dire au grand ecuyer※1 d'en chercher deux qui s'accordent avec les votres, et je les payerai d'abord.

M. Luisciusa est extremement fou de s'etre coupe la gorge; c'est une sottise qu'il ne se faut point presser de commettre. Je suis charme de ce que l'envoye de Suedeb est un joli homme; il nous en faudrait toujours de semblables.

La pauvre Brandtc et la pauvre Morriend seront bien, a ce qu'il parait, encore longtemps l'objet vexatif de la critique du Roi; il faut qu'elles s'en consolent.

Il y a ici une bande de marionnettes auxquelles Chasote applaudit beaucoup, et principalement au Hanswurst, comme il l'appelle, qu'il dit excellent acteur.

Voila toutes mes nouvelles epuisees. Des que j'aurai mis ordre ici a une infinite de bagatelles,
j'irai pour quelques jours a Remusberg vaquer a mes affaires.
Je vous prie de me croire du reste tout a vous.

Federic.

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王太子妃へ

1739年 6月13日 ルピーンより

マダムへ

あなたが私に教える喜びを与えてくれるので、私はすべての朗報を伝える千の義務があります。
いつか私のそばで幸せを与えたいです。
あなたの馬に関しては、私はあなたにふさわしい2頭を探す努力をしましたが役に立ちませんでした。
なので主馬頭に探すように伝えてください。(見つかったら)私がそれらを支払います。

ルイシウス氏※2 は話を遮られたことにたいそうご立腹ですが
そういうのって愚かなことですよね。
スウェーデンの公使※3 がハンサムな男性なので嬉しく思います。
いつもそうならいいのに。

哀れなブラントとモリエン(夫人)は、この先長い間、王の批判対象となるみたいですが
、彼らは自分で慰すしかないですね。

(シュバリエ)シャソットが称賛するたくさんの操り人形がここにあります。
特にハンスブルスト※4 は優れた俳優のようだねと言って褒めています。

これらが私のお疲れ気味のニュースです。
きりがない幾らかの指示を終えたらすぐに仕事で数日レムスバーグに出かけます。
私はあなたのものだと信じてください。

フレデリク

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※1,grand ecuyer→主馬頭
※2,ルイシウス氏→アブラハム・ゲオルグ・ルイシウス。バーグの駐プロイセン大使(たぶん)
※3,公使→Rudenskjold,伯爵 1739年6月9日にベルリンに到着しました。
※4,ハンスブルスト→ドイツの道化人形
https://en.wikipedia.org/wiki/Hanswurst

 (海藻さん訳)

2. A LA MÊME(同様).

Ruppin, 20 juin 1739.

Madame,

Je vous rends mille grâces de l’exactitude avec laquelle vous daignez vous acquitter des petites commissions que j’ai pris la liberté de vous donner. Oserais-je vous prier encore de rendre cette lettre à Truchs? Le jeune Lövenörn est arrivé ici, et il ira demain avec moi à Remusberg; je lui ferai passer le temps le plus agréablement qu’il me sera possible, et j’espère de le renvoyer content. Knobelsdorff et moi, nous avons pris toutes les mesures pour le changement des chambres, et je me flatte que vous en serez satisfaite à votre retour.

Adieu; je vous souhaite bien du plaisir, vous priant de me croire tout à vous.

**

2、同様(王太子妃へ)

1739年6月20日 ルピーンより

マダムへ、

私が勝手に持ってきた手数料をかたじけなくも支払ってださるという的確さに千の感謝の意を表します。この手紙をトゥルクス(Truchsess-Waldbourg伯爵)に返すようお願いしてもよろしいですか?若Lövenörnがここに到着したところで、彼は私と共に明日レムスベルクに行きます。できる限り彼と愉快に時を過ごし、満足に彼を送還したいです。クノーベルスドルフ(※1)と私は部屋を変えるのに重要な手順を全て実行しました。あなたが戻った時、満足すると信じています。

さようなら。たくさん楽しんでください、そしてお願いだから私が完全にあなたのものだと信じてください。

**

※1:フリードリヒ大王のお抱え画家で、サンスーシ宮殿の装飾等を担ったそうです。うーん、部屋の変更というか模様替えですかね???

(みやずみ訳)

3. A LA MEME.

Ce 26 (juin 1739).

Madame,

Mille graces de votre lettre.
Voici la reponse a la Reine, avec une incluse pour Truchs.
Le Roi sera mardi a Berlin, a ce qu’il m’a dit. N’en dites rien, s’il vous plait.
J’ai ete a la Horst pour lui faire ma cour, ce qui m’a paru lui avoir fait plaisir.
S’il vous demande, a Berlin, quand je viendrai, vous pouvez lui dire que, selon ses ordres, je ne manquerai pas de lui faire ma cour le 2 de juillet a midi.
Adieu, madame; je vous prie de me croire tout a vous. 

**

3、同様(王太子妃へ)

1739 6月26日

マダムへ

お返事ありがとうございます。
これには王妃へのトルーシュ(Truchsess-Waldbourg伯爵)からの返事も含まれます。※1
王は火曜日にベルリンに居るようだと、彼※2 が教えてくれたので、
(私がベルリンにいることを)内緒にしてくださいね。※5
彼を喜ばせたと思われる、宮廷のためのお金を払うためにオルストのところへ行きました。※3
あなたに彼から問い合わせがあれば、彼の指示にとおりに、
ベルリンで7月2日の正午に宮廷のためのお金を支払うことを忘れないでしょう。(と伝えてください)※4
さようならマダム、
私はあなたのものです、私のすべてを信じてください。

**

※1,Truchsess-Waldbourg伯爵は王太子の金銭的な返答を母王妃に伝えた模様?
※2,彼→Truchsess-Waldbourg伯爵
※3「2」の手紙より手数料(利息)の開放(まけてもらった)とあったので、それを差し引いた金額を支払ったと思われる。(→再びみやずみが翻訳し直したところ、夫が払うべき手数料を妻が肩代わりしているようなので、そのお金かなと思います
※4,残りのお金の返済か。分割払いになった模様。
※5,どうやら父王に内緒の借金かと。ベルリン滞在がバレるとまずいので妻に念押し。

補足
父王は超がつくドケチなので、王太子に余分なお金は渡していなかったそうです。
そのため妻を含む他所から借金していた模様。

(海藻さん訳)

4. A LA MÊME.

Gumbinnen, 18 juillet 1739.

Madame,

Nous sommes tous arrivés ici en bonne santé, mais sans avoir reçu la moindre nouvelle de Berlin. Nous irons dimanche à Ragnit, où campent les régiments de Möllendorff et de Finck, mardi à Memel, et de mercredi en huit à Königsberg. Je compte que nous serons de retour le 12 ou le 13 à Berlin. Je ferai mon possible pour vous joindre aussitôt qu’il dépendra de moi. Voulez-vous bien faire mes respects à la Reine, et l’assurer que jusqu’ici tout s’est très-bien passé? Dieu veuille que cela continue! Le Roi est de la meilleure humeur du monde. Notre voyage s’est passé sans aventure, chose assez rare; j’espère qu’il finira de même. Faites-moi avoir, si vous pouvez, quelque chose que je puisse donner au Roi pour son jour de naissance;(a) je souhaiterais beaucoup que ce lui quelque chose qui concerne la chasse.

Si j’écris confusément, j’espère bien que vous me le pardonnerez, car je n’ai pas infiniment de temps de reste. Dès que nous serons à Königsberg, cela sera différent, Soyez persuadée que je suis et serai toujours tout à vous.

a: Le 15 août. Voyez t. I, p. 145.

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4、同じく(王太子妃へ)

1739年7月18日、グムビネンより

マダム、

私たちは皆、健康状態でここに到着しましたが、ベルリンからのニュースは聞いていません。私たちは日曜日にメレンドルフとフィンクの連隊が野営をしているラグニット(※1)に行き、火曜日にメーメル(※2)に、そして水曜日に8日でケーニヒスベルク(※3)に行きます。私たちは、12日か13日にベルリンに帰れると思います。あなたのところに早く帰れるかは私次第です。王妃に、私からの挨拶と、そしてこれまでのところ非常にうまくいっているということを伝えてくれましたか?神はこれが続くことをお認めになるでしょう!王は非常にご機嫌です。私たちの旅は危険なことなく行われました、かなり珍しいものです。何事もなく終わることを願っています。よろしければ、王の誕生日(a)に何を贈ればいいのか知らせてください。私は、何か狩に関するものがいいのではと思っています。

もし(このお手紙を)ごちゃごちゃに書いていたら、許してくださることを望んでいます。なぜなら、私には十分な時間がないからです。ケーニヒスベルクに着き次第、違ってくるでしょう。私はあなたであり、いつでもあなたのものであると確信してください。

a:8月15日。t. I, p. 145参照(8月14日とも聞いたけれどどっちが正解なんだろう。)

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さすが王太子様犬派。父上の誕生日にも猟犬を推してくるのだろうか(適当)

※1:現ロシア、ネマン
※2:現リトアニア、クライペダ
※3:現ロシア、カリーニングラード

メレンドルフとフィンクとは誰なんでしょう(無知)→Twitterでお世話になっているのず様が教えてくださいました!!ありがとうございます!!

メレンドルフとは、この時点で「フォン・コーゼル」竜騎兵連隊の連隊長を務めていたフリードリヒ・クリストフ・フォン・メレンドルフ少将(Friedrich Christoph von Möllendorff)のことだそうです。Friedrich Christoph von Möllendorff – Wikipedia

フィンクとは、第14歩兵連隊の長、アルブレヒト・コンラート・フィンク・フォン・フィンケンシュタイン元帥(Albrecht Konrad Finck von Finckenstein)の可能性があるそうです。ですが、彼は1735年に没していて、1739年の連隊長は後の元帥、ヨハン・フォン・レーヴァルト大佐だそうで。おや???
……というわけで、のず様とお話ししたところ、フィンケンシュタイン元帥の功績が大きいため、「レーヴァルトの連隊」とするよりも「フィンクの連隊」とした方が伝わりやすかったのでは?とのことでした。ありがとうございます……勉強になります

(みやずみ訳)

5. A LA MEME.

Petersdorf, 23 (juillet 1739).

Madame,

Je vous marque en deux mots que nous sommes arrives ici sains et saufs, harasses de la poussiere, absorbes par la chaleur, et extenues par des veilles continuelles; je vous laisse a juger si, dans ces dispositions, on est en etat d’ecrire de longues lettres. En deux mots comme en cent, tout va bien ici, tout se porte bien, et je suis tout a vous.

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1739年7月23日 Petersdorfより

マダムへ

私はあなたに我らは安全かつ健全な状態でここに到着しましたという言葉を互いに印象づけます(あなたも健やかであることを信じています)が、(私のほうは)粉塵まみれだし、暑いし、ずっと張り詰めた警戒心に疲れ果てました。
私達はお互いに長い手紙を交わす間柄だけど、そんなわけだから返事はあなたにおまかせします。※1
2つの百の言葉で、(私も)すべてが順調で(あなたも)すべてが順調なのです。
私はあなたのものです。

**

※1→直訳(のようなもの) 私はこれらの規定で判断をあなたを任せます、これらの規定では私たちは長い手紙を書く立場にいます。

補足という言い訳

2つを印象づける・2つの言葉→自分と嫁の2者を指しているということで、解釈すると
こんな感じに。というかそうしないと意味不明になってしまった…
「百の言葉」でとか「千の~」な表現は嫁に対してよく使ってますが、今回は「2つ」
という表現を使ってるので、嫁に共感を強く希望しているのかなと解釈しました。
かなり意訳しまくり(いつもだ!)の回なので間違ってたら即教えて下さい。
求む赤ペン先生。切実です

(海藻さん訳)

6. A LA MÊME.

Pétersdorf, 27 juillet 1739.

Madame,

Ayez la bonté de rendre cette lettre à la Reine, en me mettant à ses pieds. Nous sommes toujours emportés par ce torrent d’événements qui s’enchaînent tous, et qui, à vrai dire, n’aboutissent à rien. Nous ne dormons point les nuits, pour veiller, et nous sommes debout toute la journée, pour ne nous point reposer.(a) Le terme prescrit à notre vie ambulante tire vers sa fin. Je me réjouis beaucoup sur Rheinsberg, et encore plus sur le plaisir de vous embrasser. Je suis d’ailleurs tranquille, grâce à Dieu, et je ne saurais assez me louer du Roi; il est, en vérité, tel que je puis le souhaiter, et que j’ai toujours désiré qu’il fût envers moi. Vous savez combien je suis sensible à ses grâces; ainsi vous jugerez facilement de ma satisfaction. Dieu vous conserve, madame! Ne m’oubliez point, je vous prie, et souffrez que je vous embrasse de tout mon cœur.

a: Frédéric parle de la vie qu’il menait au camp de manœuvres de Pétersdorf.

 

6、同様(王太子妃へ)
Pétersdorf(ペータースドルフ※1)より、1739年7月27日
マダム、
お願いですので、この手紙を、私が足元にひれ伏す王妃様の元へお返ししてください。私たちは、ずっと、相互に関係しているようにみえて、率直にいえばそうではない、出来事の(急流のごとき)連発に流されていました。監視のために、睡眠もとらず、休まないで一日中起きていました(a)。私たちの決められた兵役期間もおしまいに近づいています。私はラインスベルクに帰るのをとても楽しみにしています、そして、あなたにキスするのをもっと楽しみにしています。神に感謝すべきことに、私は平穏無事ですが、王を十分に賞賛することはできません。本当のところ、私が私がいつも願ってきたように、彼が私にとってそう望んでいるようには(※2)。あなたは私が陛下の恩寵をどれだけ気にしているか知っていますね、だから私の思いをあなたはすぐに判断するでしょう。神のご加護を、マダム!私を忘れないで。お願いします、そして心の全てであなたを抱きしめることをお許しください。

a:フリードリヒはPétersdorfで歩兵連隊を率いた時の生活を語っている。

**

※1:バイエルンオーストリアシュタイアーマルク州に「ペータースドルフ」という場所があるが、どう考えてもそんなところでプロイセンの王族が軍事行動できるわけがないので、ポーランドのシロンスク県(ドイツ語名:シュレジェン)にあるショビショビツェ(ドイツ語名:ペータースドルフ)と思われます……。出たシュレジェン
※2:ううーんよくわかんない。フリードリヒ殿下は父と複雑な関係なので、父とスムーズに会話できる妻に、自分の思いを、父へ話すようお願いしているのかもしれません。昭和ドラマの複雑な仲の父と息子あるある。

 (みやずみ訳)

7. A LA MÊME.

Königsberg, 30 (juillet 1739).

Madame,

J’ai reçu la dernière que vous me faites le plaisir de m’écrire. Tout va bien ici. Le Roi a été incommodé; mais il est tout à fait remis.
J’espère pour sûr d’être le 17 à Berlin, et de vous embrasser. Mettez-moi aux pieds de la Reine, et rendez-lui cette lettre. Adieu; je suis tout à vous.

**

ケーニヒスベルクより 1739年 7月30日

マダムへ
最後に書いていただいたものが届きましたよ。
こちらは何も問題はないです。国王には不便をおかけしましたが、かなり回復しています。
17日にはベルリンであなたにキスを捧げたいです。 私が足元に平伏す王妃に、この手紙を返してください。 ※1
さようなら
私はあなたのものです。

**

※1 王妃宛の手紙を嫁は預かってるのかな? 

補足
先の手紙の続きみたいな。帰る予定が決まったので送ったと思われ。
手紙だけで判断する分には仲の良い若夫婦。
この数年後を思うと胸が痛い…

(海藻さん訳)

8. A LA MÊME.

Königsberg, 3 août (1739).

Madame,

 Ayez la bonté de rendre cette lettre entre les mains de la Reine. J’ai reçu votre lettre avec bien du plaisir, et j’ai celui de vous assurer que notre voyage se passe le plus joliment du monde jusqu’à présent; j’en souhaite la continuation. Je serai le lundi (d’aujourd’hui en quinze) à Berlin; je compte d’y arriver le matin. Comme le Roi arrivera plus tôt que moi, ayez la bonté de lui présenter en mon nom le chien, ou ce que vous aurez pu trouver pour lui donner, en me mettant à ses pieds.
 Vous apprendrez par toutes les nouvelles du jour les avancements qui se sont faits ici, et d’ailleurs je suis porté à croire que vous n’y prenez pas grand intérêt; ainsi je vous renvoie aux nouvelles publiques, vous priant de me croire tout à vous.

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8、同様(王太子妃へ)
ケーニヒスベルク、(1739年)8月3日

マダム、

お願いですので、どうか、この手紙を王妃の手にお返しください。あなたからの手紙を受け取ることができて、嬉しく思います。私たちの旅(行軍)はこれまで順調に進んでいるとあなたに請け合うことができるのも。これが続きますように。私は月曜日(今日から15日後)にベルリンにいます。朝には到着している予定です。もし王が私より早く到着していたら、どうかお願いだから、私が彼に足元でひれ伏しているということにより、あの犬を私の名前でプレゼントするか、何でも他に差し上げられるものを見つけてくれませんか?
あなたは、ここで行われた進歩を、その日のすべてのニュースで学ぶことができるのに、あなたがそれにあまり興味を持っていないような気がします……ということで、私がニュースを公開してご紹介します。どうか私を信じてくださいね。

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※嫁に国政への興味を持って欲しいから僕が教えちゃう!なフリードリヒ殿下ってやつですかね????

(みやずみ訳)

9. A LA MEME.

Konigsberg, 8 aout 1739.

Madame,

Voici deux lettres que je vous prie de rendre a leurs adresses. Je vous rends grace de la votre, et je vous prie de vouloir m’excuser aupres de votre mere, car il m’est impossible de lui repondre. Je serai le 17 infailliblement a Berlin, car je pars incessamment pour les haras; je ne pourrai plus vous ecrire, et j’attends avec grande impatience le moment de vous embrasser et de vous assurer que je suis tout a vous.

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ケーニヒスベルク 1739年8月8日

マダムへ
ここに2通の手紙がありますが、彼らのもとへに返送してください。
あなたには感謝していますが、お母様※2にはお返事ができないのでお許しください。
私は17日にベルリンにいますが、私はまもなくスタッドファーム(種馬飼育場)※1に向けて出発しますので
私はあなたに手紙を書くことができませんが、
あなたにキスをすることを楽しみにしていますし、
私のすべてはあなたのものです。

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※1 馬の繁殖施設。軍馬とかのと思われる
※2 votre mereの意味は「あなたのお母さん」。
しかし前後の手紙から嫁殿の母上ではなく王妃(夫の母)を指すのではないかと思われ。
ただし前の手紙に出てくる国王へのプレゼント等で嫁の実家の協力があったりした可能性もあるので
「お母様」としました。

(海藻さん訳)

10. A LA MÊME.

(Haras de Prusse) ce 19 (10 août 1739).

Madame,
Je ne vous dirai qu’en deux mots que tout va très-bien ici. Le Roi et toute la suite sont en parfaite santé. Le Roi, très-gracieux, m’a donné toute l’économie de ses haras, ce qui rapporte magnifiquement; c’est un très-beau présent, et fait de la meilleure grâce du monde. Ayez la bonté d’en témoigner au Roi ma reconnaissance respectueuse à son retour(b), car ces haras m’arrêteront ici cinq jours plus longtemps que le Roi. Adieu; je suis si accablé d’un mal de tête effroyable, qu’il m’est impossible de vous en dire davantage. Ayez la bonté d’avoir soin des incluses, et soyez persuadée que je suis tout à vous.

b…Voyez la lettre de la Princesse royale au roi Frédéric-Guillaume 1er, dans l’ouvrage de M. de Hahnke, Elisabeth Christine, Königin von Preussen. Eine Biographie, p. 392 et 393, no 9.

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10、同様(王太子妃へ)

プロイセンのスタッドファーム(種馬飼育場)より)、19日(※1)(1739年8月10日)

マダム、
こちらは万事順調だということを、二つの言葉でしかお話しできません。王とその随行たちは非常に元気です。慈悲深き王は、私に、すべてのスタッドファームの運営を任せてくれました。非常にうまくいっています。非常に深い恩寵による、とっても素晴らしい贈り物です。このスタッドファームに、王より5日ばかり長く滞在するので、王が帰ってきたときに、どうぞ私の謝意を伝えて頂きますよう(b)、お願いいたします。さようなら。頭痛がひどくて、これ以上お話しできません。お願いですので、同梱のもの(※2)を大切にして頂き、私が全てあなたのものであるということをお確かめになってください。

b…M.Hahnke著「エリーザベト・クリスティーネ、プロイセン王妃」という伝記からの王太子妃からフリードリヒ・ヴィルヘルム1世宛の手紙参照

※1:10と19の書き間違いだと思われます。頭痛がひどいから仕方ない。
※2:なにか贈り物でもしていた可能性があります。
フリードリヒ2世即位まであと9ヶ月、オーストリア継承戦争まであと1年ちょっと。フリードリヒ・ヴィルヘルム1世も、息子にいろいろと譲ろっかなと思ってるのかもしれません。フリードリヒ王太子が妃に「王は元気です」と伝えているのも王が体調不良を抱えていたからかもしれない→水腫だそうです。王様の持病。

(みやずみ訳)