Don't mistake sugar for salt.

読んだ本や思ったことの記録

白銀の墟 玄の月を読んだ③細々メモ

寒いですね。寒いです。帯を読んだら来月公開予定の3〜4巻は「数奇な運命をたどる「泰麒」の謎がついに明かされる!」という、「ちょっとこれ以上、この子いじめるのやめてくれない!!」というキャッチコピーだそうです。

個人的には麒麟であって麒麟でないという泰麒の状態が戴国の主要メンツに知れ渡るのかなと思いますが、エグい展開はやめてほしい。みんなで泰麒の角を生やすために清浄な戴に戻そうって決意する話だったらいいなぁ〜。

思えばこの麒麟は生まれた時から異国に飛ばされ、その異国では居場所がなく、戻ってきた時は麒麟としての能力をほとんど忘れ、ようやく思い出して王を選定できたと思ったら、その王はたったの半年で行方不明になり、また異国に飛ばされてそこで麒麟の性質ゆえに恨みを買い、呪詛をえて病み、帰ってきた国は荒廃していた、という苦労人(麒麟)です。

ただ、十二国記の法則として、苦労したらした分だけ成長できるという法則があるようです。麒麟も同様。
泰麒に負けず劣らず苦労してる延麒も名麒麟ですし、自分のせいで国中の女が追放されるという「自分が国を滅ぼしてるのか……」的な目にあった景麒も名麒麟の素質が出てきましたし、稀代の名麒麟(だと思ってる)廉麟も苦労してそうだしなぁ〜

泰麒が成長し、廉麟を越す名麒麟になることを願いつつ、以下、疑問に思ったことをメモです。考察ではなく、ネタバレ感想です。

 ◆ヤンデレ女子メーカー泰麒

汕子もだけれど、李斎や、今回の浹和さんといい、泰麒に関わった女性は何故ヤンデレになりやすいのか。このまま汕子vs李斎vs浹和さんの泰麒の寵愛を巡る大乱闘がクライマックスでもおかしくない。

驍宗様が「蒿里〜〜♡」「驍宗様〜♡」って泰麒をお姫様抱っこしながらくるくる回ってる横で大乱闘が繰り広げられてるだろ 4巻

女王に恋着され国を滅ぼしかけた景麒の例もあり、麒麟は容姿端麗で性格は仁慈に満ちているので、女子はドキッとしてしまうのかもしれないな……。特に当代の泰麒は母性本能をくすぐりやすい性格だしなぁ。しかも異常なほど聡明。ヤンデレ女子を作りやすいのかもしれないな……あぶねぇ……
琅燦がヤンデレ女子になってないのがさすが「琅燦大先生〜〜〜〜!!!」って感じ。

◆驍宗様の成長ストーリーなのかも。

おっと、ここにきて元気だった頃の阿選の方に仕えたくなってきてしまう、というとんでも展開に。お前そんなにいいやつだったのか!!福利厚生良さそうだな!!!
でも王様にはなれないんだよ。ああいう「良いやつ」は……。
面白くて有能な人は阿選にはついてこない……\(^o^)/

だけれど、天が驍宗様を選んだというのは、その素質があったからなんだろうなぁ。
景麒が陽子について確か「風の万里 黎明の空」で語っていた通り、麒麟は名君になる素質のある人を選ぶことしかできないんですよね。景麒は予王を名君にできなかったけれど、似たような性向を持つ陽子はどんどんと成長していって、おそらく名君になるのでは、と思える感じになっています。
王様本人が成長しなければいけないのだ。

で、驍宗様はここにきて、完全無欠というよりも、欠点だらけで性急すぎるという側面があらわになり、結構な自己評価の低さ(「俺って人気ないし……」)も垣間見せています。
半年で中央から謀反を起こされてしまうあたり本当に人望が悲しいのかもしれないですけどね!驍宗サイドでしか戴の話を見れていないので……

泰麒は、過酷な経験を経て気の弱い雛から、百官を手玉にとる冷徹な策士へと変貌を遂げました。今の泰麒なら、あまりの性格の悪さと無茶しすぎっぷりに、正頼がケツぶっ叩ける!!正頼の!!夢が!!叶う!!

たぶんあのまま聡明だが気の弱い雛と根っこは弱いのに自信過剰で傲岸不遜な気のある驍宗が一緒にいたら、数年経たずに失道となっていたような気がするのです。泰麒は驍宗を止められないし、諫言もできないだろうから。

今の泰麒なら、たぶん驍宗をブリザード込みの目線で掣肘することができるので、良い成長をしたのではないでしょうか。いや、麒麟として良いかはどうかはさておき。でも味のある麒麟の方が長生きするよ!ほら六太とか。

じゃあこの6年、驍宗のおそらく過酷だった日々は、何を学んでいたのだろうと思ったりします。ひょっとしたら人の優しさだったり、人を信じる心だったりするのだろうか。人格が丸くなっているのかもしれません。
祥瓊みたいになっていることを祈ります。

楽俊に拾われてたりして……(ねーよ)

◆裏切った部下の首を必ず取りに行く英章bot

この薄暗い二巻の中で一筋の希望と笑いを提供してくれるのが「肚の底まで真っ黒だから、白か黒か迷わなくて良いので楽」と言われていた智将の英章さんです。

迷言集をば!

・「私は逃げる」
・「お前たちを丸抱えで面倒見てやれるほど、私は裕福ではないからね」(ここで緊張がほぐれ大爆笑した)
・「そこで命を惜しんでも、そんなに寿命が変わるわけじゃないから」(さらに緊張がほぐれ爆笑した)

これはワンチャンいけるのではないだろうか。風の万里黎明の空のように、真っ黒さと驍宗に対する忠誠心では戴の将軍の誰にも負けない英章さんがゲリラ戦で民を一斉蜂起させないだろうか〜。

きっとその機会を伺っている最中だと思うので、泰麒が帰還したということを知ってる李斎と会ってほしい。

◆6年も拷問受け続ける正頼さん

泰麒のもとに帰ってきてほしいのが、「取り柄というものが一分もないから、足蹴にするのに気が咎めなくていい」といわれていた正頼さんです。

6年も拷問受け続けてんの……プロメテウスかよ……

「泰麒の神聖なお尻を叩きたい」と願ってしまった報いで自分が叩かれてるのだろうか……おh……

正頼が黒幕ではないかと疑った時期もありましたが、今回新刊を読んでしまえば「謀反して正頼が得すること一個もなくね!?」「むしろ泰麒にケツ叩かれるから無理!」と思ったので無しということにします。

◆そもそも

泰麒自身は麒麟なので「驍宗様の敵は私の敵!」という状態なのでしょうが、官吏・将軍たちからみれば、「麒麟とか王とかよくわかりません」「泰麒には忠誠を尽くすけれど驍宗は嫌!」「泰麒と驍宗様に身命を賭す!」という感じの人にわかれているので、状況が複雑ですね。戴の臣がうじゃうじゃ出てくるよ……

 

この混沌をあと二巻で収めるんですよね……。どういう風に話が進んでいくんだろうなあ。楽しみです。案外複雑に見えて、解決方法は泰麒と驍宗が会って泰麒がまた彼に叩頭すればいいだけなんだから!!いける!!これはいける!!(希望的観測)